今月の注目アーティスト~稲川淳二さん~
今年で28年目となる「MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト」が7月からスタート。怪談の魅力やツアーの見どころについて、たっぷりと語っていただきました。なんと、実際に起きた怪談についてもお話いただいたので、怖い話が苦手な方は覚悟してご覧ください!
PROFILE
工業デザイナー・タレントとして活躍。2006年にタレント活動を休止し、怪談に専念。今年で28年目となる全国各地を巡る「MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト」は、“夏の風物詩”とも言われ、たくさんの人に愛されている。
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稲川 淳二(いながわじゅんじ)
生年月日/1947年8月21日
血液型/AB型
出身地/東京都
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INTERVIEW
-稲川さん、本日はどうぞ宜しくお願いします。
はい、宜しくお願いします。
-今回稲川さんにインタビューをさせていただくにあたり、毎晩稲川さんの怪談を聞きながらベッドに入りました。不思議と心地よくなって、ぐっすり眠らせていただきました。
そうなんですよ、怪談っていうのは実は心地良いものなんですよ。私のファンの方たちも私の怪談を聞きながら寝るっていう人も多いですよ。怖いはずなのに、良く眠れるのは不思議でしょう?
-本当にそうですよね。私も最初はそうでしたが、「怪談=怖い」というイメージを持っている人が多いと思います。稲川さんが思う怪談の魅力とは何なのでしょうか?
あのね、私は怪談をいつからはじめたとかではなくて、実は子どもの頃からずっと怪談を聞いて育ったんですね。私の母親やお婆ちゃんが怪談話をよく話してくれたんです。私の母は怪談を話すのが上手いんですよ!
-へぇー!そうなんですね!
えぇ。だから私の中に怪談がごくごく普通に入っていたんです。私が子どもの頃は、戦後の時代ですから娯楽がなかったんです。すると、夏なんかはね、近所の子が家へ来て私の母親が怖い話をするとみんな喜ぶんですよ。その様子を見て、「怪談=人が集まってくる・喜んでくれる」という印象があってとても好きになったんですよ。もう一つはね、私は東京の恵比寿で育ったんですが、その当時は戦前から建っている古い木造の家ばかりだったんです。当時は家の周りに木がたくさん生えていて、夜になるとそれはもう怖いんですよ。私と弟が寝るときに、2人の間に着物を着た母親が入ってくるんですね。夜寝るときは薄暗い小さな豆電球しかなくて、そんな中で母親が怪談話をはじめるんです。私はねそれが楽しくてね。
それから私が小学校の頃なんかはね、1クラスが60人ぐらいだったもんで、教室はいつも生徒で溢れかえっているんですよ。雨で体育の授業ができなくなったときは、「稲川く~ん」って先生が呼ぶんですよね。そうすると私が前に出て、怪談話をするわけですよ。それがウケるんだよね~。そして私は絵が得意だったから、怪談ができて絵が描けてで、女の子にモテましたね。話が少し反れましたけど、それぐらい私の中で怪談は生活の一部でしたね。
-創作風景のお写真を拝見したのですが、基本的にご自宅で作業をされるのですか?
自宅でもやりますが、工房が茨城県にあるので、最終的な作業は工房でやっています。東京と工房をいったりきたりしていますね。工房は海が見える高台にあって、人通りもないんですよ。日の出前から日が落ちるまで作業していて、夜になると月明かりが本当に綺麗なんです。それでね、私の工房には(幽霊が)いるんですよ。
-えぇ…本当ですか!?
茨城県に住んでいたとあるおじいちゃんがいてね、そのおじいちゃんのことが好きで私は茨城県に工房を持ったんですよ。でもそのおじいちゃんが亡くなってしまってね。その後、私の工房に泊まった人がそのおじいちゃんを見たって言うんですよ。私の後輩とその奥さんが工房に遊びに来たとき、奥さんだけが工房に残って私と友人は出かけていたんです。すると、私たちが帰ってきたら奥さんが「さっきおじいちゃんがいたよ」って。聞くと、奥さんがうたた寝をしていて、ふと目をあけたら横におじいちゃんが立っていたらしいんです。そのとき話してくれたおじいちゃんの特徴も、服装から髪型までぴったりで、それはもうびっくりですよ。あとね、近くでとある撮影があってディレクターが工房を使いたいっていうから貸してあげたんだけど、鍵が開かなくて使えなかったって言うんですよ。そんなわけないのに。他の仲間にも貸してあげようとしたんだけど、また開かなくてね。あとね、4回泥棒が入ったんですよ。でも私がいる部屋にだけは一度も入られなかったんです。部屋の前まで足跡は残っているのに。おじいちゃんが守ってくれていたんですかね。そんな不思議なことが多いですね。
例えば、ある親しい俳優さんの話なんだけどね。そのとき私がドラマの脚本を書いていたんですよ。殺人鬼が出てくる話でね、その殺人鬼を親しい俳優さんにお願いしたいと思っていたんです。それでマネージャーさんに連絡をしたんだけど「稲川さん、それはやめておいた方が良いですよ」って言うんですよ。でもね、私は諦められなくて、工房に帰って脚本作りに励んでいたんです。するとあるとき、夜中に突然キンコーンってチャイムが鳴ってね。こんな時間におかしいな~って思うでしょ? でも何度も何度も鳴り続けるんですよ。誰かのイタズラかなと思って、だんだん苛ついてきてね。思い切って出てやったら…、誰もいないんですね。変だよな~と思っていたら、翌朝私のマネージャーがやってきて玄関で何かしているんですよ。何をしているのか訪ねたら、「チャイムを直してる」って言うんですよ。「いやいや、昨日鳴ったよ?」って言ったら、「いや、壊れていますよ」って言うんです。そしたらそこにチーフマネージャーがやって来て、「座長(稲川さん)、あの俳優さん亡くなったらしいよ」って。私はびっくりしてね~、「いつ頃亡くなったの?」って聞いたら、夜中の1時ぐらいって言うんですね。私その時間にちょうど彼にオファーしていた殺人鬼が首を吊って死ぬシーンを書いてたんですよ…。
-えぇぇぇぇ…! 凄い…、もう鳥肌が立ちまくりです…!
本当に工房では不思議なことが起こるんですよ。よく彼をはじめ、様々な人が遊びに来てくれますよ。こういうことが起こるから、工房ではいろいろな話を思いつくわけですね。たくさんの破片をかき集めて、それを繋げて行くんです。この瞬間がたまらないですね。
-ありがとうございます。生で稲川さんの怪談を聞けて、贅沢な気持ちと、恐怖で胸がいっぱいです…(笑)。生で聞けるといえば、7月から毎年恒例の「怪談ナイトツアー」が始まりますね。1993年からスタートしたこのツアーですが、長年続ける中で変化を感じることはありますか?
それはもう、時代が変わってきますから。パソコンも携帯もない時代からですからね。世の中の状況が変化していくとともにその時々の面白さがあります。状況だけじゃなくて、私が話す怪談も変わってきますよね。若い世代の子たちは、昔の言い伝えや歴史、文化など知らないこともあるでしょう? だから、私の怪談では、一つひとつの言葉の意味からしっかりと伝えていきたいと思っているんです。
-なるほど! では若い世代の人にとっては、稲川さんの怪談は学ぶことも多いということですね。
えぇ、そうです。怪談話の元になるもの、例えば鳥居や神社など、どのようなもので、何のためにあるのかなど、私が研究していることについてもお話できればと思います。
-このツアーは毎年各地で“満員御霊”だと思うのですが、今年は大変ではないですか? ガイドラインやロードマップが出される前からチケットは販売されていたんですよね?
えぇ。大変ですよね。所によっては、すぐに完売するんですよ。でも今はこんな状況だから、会場に来ていただいても、席の調整だったりご面倒をおかけすることもあると思います。会場いっぱいにお客さんを入れられるわけじゃないですからね。でも私は、こういう状況だからできないとか諦めるとかは思っていないんですよ。逆に、こういう状況だからこそ今までにない形で楽しんでもらえたらと思っています。
-そうですよね! こういう状況だからこそファンのみなさんも協力しあって、良いツアーを作っていきたいですよね。
そうですね。今年はずっと温めていた話をお話しようと思っています。この話は不思議さもあるけれど、なんとも優しくて切ない、とても良いお話ですよ。よくマスコミの方が私の話を「稲川怪談」と言ってくれるんですが、どうやらそこには怖いだけじゃなくて優しさがある、思いやりがある、感動する、そういったところが魅力かな~と思うわけですね。
-そうなんですね! それは私もぜひ会場に伺いたいと思います!
えぇ、ぜひお越しください。今年は昨年の38.5倍ぐらい楽しいはずですよ。今年はね、新しく手に入った凄い心霊写真もお見せするので、怖いですよ~。
-えぇ…! 心霊写真ですか!?
そうですよ。あまりにも怖いから心霊写真のところは目をつぶった方が良いかもしれない(笑)。その心霊写真というのはね、ある女性から手紙と一緒に私の元に送られてきたものなんです。手紙には「写真を始末してほしい」って書いてあるんですよ。その写真っていうのは、女性のおばさんのものなんですけどね。103歳で亡くなっているんですよ。おばさんの若い頃、昭和3年の元旦に撮影されたもので、髪もきちんと結って、着物を着てみんなで勢揃いをして写っている綺麗な写真。そこにね、いるはずのない人がじ~っとこちらを見て立っているわけですよ。不思議なのが、その人がね、時間が経つにつれてどんどんはっきりと濃くなっているわけですよ。おかしいでしょ? そしてね、写真を受け取ってから必ず私の夢の中には亡くなった人が出てくるんですよ。それも何十年も会っていないおじさんとかおばさんとか。どうも気になって、写真を取り出してみたんですよ。そしたらね…写真が変わっていたんですよ。
-えぇ!? 変わってた!?
そうですよ。不思議でしょう? その写真を今回のツアーではお見せしますから。怖いですよ~。
-ところで、稲川さんは愛媛には何度も来ていただいていますよね。愛媛の印象はいかがですか?
愛媛は本当に良いところですよ。今も昔も街の雰囲気が変わってない。松山城も何度も行ってね、道後温泉にも入りましたよ。食べ物も美味しいしね。南予の段々畑もあるでしょ? あそこも良かったですね。あと、日本の野球の普及に貢献したとされる正岡子規も愛媛出身でしょう? 私は野球が得意だし、大好きなんですよ。将来はもしかしたら、野球選手になっていたかもしれないです。そんなことも含めて、愛媛にはご縁を感じますね。
―それでは、最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします。
怖いんだけど懐かしい、それでいて何だか楽しいそんな時間をみなさんと一緒に過ごしたいです。会場でお待ちしております!
TOPICS
MYSTERY NIGHT TOUR 2020稲川淳二の怪談ナイト 愛媛公演
日程/8月29日(土)
会場/松山市総合コミュニティセンター・キャメリアホール
怪場17:00/怪宴17:30
座席/全席指定
前売り/¥5,600(税込)
当日券/¥6,000(税込)
【問い合わせ先】
089-947-3535/デューク松山(月〜金 11:00〜17:00※土・日曜、祝日休)
Okachan
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